IZA Ambassador François Fajula博士の日本滞在報告
成蹊大学
© 2015 ゼオライト学会© 2015 Japan Association of Zeolite
モンペリエ(フランス)のCNRS分子・物質化学研究所名誉所長であるFrançois Fajula博士が,国際ゼオライト学会(International Zeolite Association, IZA)の親善大使(Ambassador)としてZMPC2015の開催時期にあわせて6月27日から7月9日まで日本に滞在した。ZMPC2015での特別講演の他にも東京,名古屋で講演会の開催や学生との交流会を開催し,ゼオライト学会関係者と交流を深めることが出来た。IZA Ambassadorの来日は,前任のLynne McCusker博士(2012年)に続いてのことである。今回の来日は,国際航空券をIZAが負担し,国内滞在費を当会が負担することで実現した。今回の招聘に際しては,本会庶務担当理事である小職が関係者との調整を行ったのでここに報告する。
François Fajula先生は,モンペリエで開催された第13回国際ゼオライト会議(International Zeolite Conference, 13th IZC)の実行委員長を務められ,その後は2004年から2010年までIZA会長を務めるなどゼオライトコミュニティーでは著名な方である。2013年にモスクワで開催された第13回国際ゼオライト会議(17th IZC)では“The synthesis and modification of zeolites and porous materials and their application in catalysts in refining and petrochemical processes”の成果でIZA賞を受賞した。小職はこれまでFajula先生と親交があったわけではないが,IZA Ambassadorとして来日していただければ日本の若手ゼオライト科学者の育成に貢献していただけるものと考え,国際会議でお目にかかった際に声をかけていた。その後,Fajula先生からZMPC2015の開催時期にあわせてIZA Ambassadorとして来日する意向のあることを伺った。ZMPC2015の実行委員長でもあり当会会長の増田隆夫先生をはじめゼオライト学会の関係者の方に本件に関するご相談をした結果,ZMPC2015(札幌)では特別講演をお願いすることが決定した。また,東京では早稲田大学の松方正彦先生のご尽力で,Fajula先生による講演だけでなく,関東地区の各大学の学生との交流の機会を設けた。名古屋では名古屋大学の薩摩篤先生のご尽力でFajula先生による講演会を開催した。今回,Fajula先生はClaudine夫人を伴われて来日されるとお聞きしたので,セミナーの前後ではゼオライト学会関係者との懇親を深める機会を作ると同時に,日本各地で日本の伝統文化に触れていただく機会を設けることとした。
Fajula先生ご夫妻はZMPC2015(札幌)の開催に合わせて6月27日に来日され,翌日のレセプションから参加し,会議だけでなく30日のエクスカーションにも火山見学のコースに参加された。特別講演は7月1日のバンケットの前の時間に設定され,“Green Sustainable Science and Technology Supported by Worldwide Researchers' Community for Micro- and Meso-porous Materials”とのタイトルで,最近の研究トレンドなどを総括した総合講演を行っていただいた。今回のバンケットは着席スタイルで北海道の新鮮な魚貝をふんだんに使ったフレンチフルコースを頂いた。Fajula先生ご夫妻もバンケットに出席され北海道の味を堪能されたと思う。ZMPC2015には最終日までご参加いただき,7月2日午後の飛行機で小職とともに東京に移動した。偶然のことであるが,機内では東京でバカンスを過ごす予定の米国シェブロンのStacy Zones博士ご夫妻と隣同士の席であった。
7月3日は早稲田大学松方研究室でラボツアーを行い,午後は同キャンパス内で“Student Forum on Zeolite Science and Technology”に参加された。このフォーラムは松方先生の発案で,学生たちが各自の研究発表を数分程度行い,Fajula先生に質問やコメントを頂くという企画で,参加者は東京大学,東京工業大学,横浜国立大学,早稲田大学の4大学から約30名参加し,その内の9名の学生が研究発表を行った。具体的な発表タイトルは省略するが,終始和やかな雰囲気の中でフォーラムは行われ,Fajula先生と質疑を行ったり,アドバイスをいただいたりした。学生のみならず参加者全員が強く刺激を受けた会となった。フォーラム終了後に,最近の研究課題である“Non-conventional eco-friendly routes for the preparation of ordered porous materials for catalysis and bio catalysis”というタイトルの講演を行っていただいた。こちらの参加者は約60名であった。講演終了後には学生たちからさまざまな質問が出て,非常に活発な議論ができた。この日,Claudine夫人は上野の博物館をご覧になられ,日本文化について学ばれたとお聞きした。夜はご夫妻を囲んで,早稲田でのフォーラムにご協力いただいた先生方との交流会を開催した。翌日は,せっかく東京にお迎えしたので,観光バスで都心の主要名所をバスで巡った。浅草ではバスを降りて浅草寺を参拝した。参拝後に,私も含めて「おみくじ」を引いたが,Fajula先生は「一番,大吉」であり,Claudine夫人は「八番,大吉」で,このご夫婦は強運の持ち主であることを強く感じた。東京スカイツリーでは展望台まで上がって東京を一望した。あいにく小雨模様の天気であったが,東京の街並みを一望することができた。また,この日は土曜日でもあり街は人で溢れており,バスツアーではあったが東京の人の多さも実感されたと思う。
7月5日に名古屋に移動し,翌6日には名古屋大学で講演を行った。名古屋大学では薩摩篤先生のご尽力で,同大学のグリーン自然科学国際教育研究プログラムセミナーとしてFajula先生による講演会を開催した。講演タイトルは早稲田大学での講演と同様であり省略するが,学部3年生を含めて33名の学生が参加した。また,講演会の開催に先立ち,関係の先生方との交流会も行われたとのことである。
さて,札幌,東京に次ぐ訪問先に名古屋を選んだことには講演会以外にもう1つの理由がある。それはFajula先生ご夫妻が本会の元会長である丹羽幹先生ご夫妻と米国テキサスA&M大学Lansford研究室留学時代からの友人であるということである。小職はそのことをモンペリエで開催された13th IZCの時に丹羽先生から聞いていたので,Fajula先生からIZA Ambassadorとして来日される意向をお伺いした際に,丹羽先生にご相談して名古屋を訪問先の1つに決定した。名古屋到着後のFajula先生ご夫妻のスケジュールのアレンジや,ご自宅を宿泊先にご提供いただくなど,丹羽先生には大変お世話になった。本誌面をお借りして御礼申し上げる。名古屋では講演をお願いした以外は,日本の伝統文化を堪能していただき,徳川美術館,白川郷,高山(陣屋,街並み),下呂温泉と回られ,美濃市和紙の里会館では和紙手すき実習をされた。7月9日に中部国際空港から帰国の途につかれ,帰国後には下記のように滞在レポートを作成していただいた。ここに紹介して小職からの報告を終わることとする。
Participation to ZMPC 2015. Sapporo
One lecture (July 1: “Green Sustainable Science and Technology Supported by Worldwide Researchers' Community for Micro- and Meso-porous Materials”) and one poster presented. The conference organized at the Sapporo Convention Center was of outstanding standard due to the quality of the scientific programme, the remarkable organization and the efficient environment with conference rooms, exhibition booths and poster sessions in a very close proximity allowing easy interaction and exchange between attendees. Poster sessions embeded in the oral programme have been lively followed and generated good discussions. The lunchon seminars have been well appreciated and permitted to non-Japanese participants to discover, or know better, the activities of major companies which activities related to zeolite and chemical science and technology. Last but not least, the social programme was great and brought a friendly atmosphere all along the four conference days. Congratulations to the scientific programme committee and to the local organizing committee of ZMPC 2015.
July 2: Air transfer from Sapporo to Tokyo
July 3: Visit of laboratory of Professor Masahiko Matsukata, Student Forum on zeolite science and technology with the contribution of PhD students (9 presentations) from Waseda University, Yokohama National University, Tokyo Institute of Technology and The University of Tokyo. Very stimulating meeting revealing dedicated and enthusiastic young researchers. Attendance to the Student forum on Zeolite Science and Technology.
Lecture “Non-conventional eco-friendly routes for the preparation of ordered porous materials for catalysis and bio catalysis”
Discussions with Professors Yoshihiro Kubota, Satoshi Inagaki, Masahiko Matsukata and Shigeo Satokawa
July 4: Sightseeing tour of Tokyo
July 5: Transfer from Tokyo to Nagoya by train
July 6. Visit of group of Professor Atsushi Satsuma, Department of Molecular Design and Engineering, Nagoya University
Lecture “Non-conventional eco-friendly routes for the preparation of ordered porous materials for catalysis and bio catalysis”
Attendance to the lecture at Department of Molecular Design and Engineering (July 6, Nagoya University)
July 7–8: Visits of Shirakawa go, City of Takayama and Gero spa
Many thanks to the Japan Association of Zeolites for the invitation, to Professor Shigeo Satokawa for having taken over the organization of my visit and to all my hosts and colleagues for their warm hospitality.
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